(毒をばら撒く荒地/ありのままの自分を曝け出して)


※BL注意報

「先生、抱いてよ」
「え?」
先生はびっくりしたような顔をして、眉をひそめた。
「おれのこと、先生でいっぱいにして」
先生のシャツをつかんで揺さぶる。先生の香りがした。涙が出る。
「忘れたいんだ、アイツのこと。先生のことしか、考えてたくない」
子供みたいに泣きじゃくって、先生のシャツを濡らした。
「ね、せんせ……、だいて……?」
とんとん。弱々しく先生の胸板をたたくと、先生はいきなりおれのあごをつかんだ。そして、酷く乱暴なキスをする。
「っ……」
唇の端に血が滲んだ。先生の顔を見ると、いつもの澄ました顔とは違って、今にも泣きそうな眼をしていた。眉をよせて、悲しそうな目でおれを見る。
「だめだよ」
「先生?」
「おれは、お前の恋人の代わりになんか、なりたくないんだ」
先生は、シャツをつかんでいたおれの手をやさしくほどいて部屋から出て行った。
 唇を舐めると鉄のにおいが口内に広がって、吐き気がした。
 おれは、とんでもなくひどい言葉を、先生にぶつけてしまったらしい。

/0718(ごめんなさい!)



リアル
レモンイエロー
ひまわり
青空に

浜ちゃんの過去話
野球部でいじめられて肘怪我、伸びなくなる。で不登校気味になって、勉強ついていけなくなって留年。

/0718(ネタメモ)



 言い表せない感情を抱いて、言い表そうとして悪足掻きしてる。そんなことわかってて、だけど他にどうすることもできない。書いてみよう、自分のできるところまで。そう、思うしかなかった。
 たくさんの小説を読んで、影響される。それは例えば日常における思考の根本にさえなったりする。そして、文を書かせようとするのだ。胸の奥が疼いて、自分の中の感情を、文字という媒体で吐き出す。簡単なことではない。自分の語彙がなければ、苦しいのは自分だし、欲求不満のまま終わることも少なくない。
 けれど書きたいと、表したいと思ってしまうのだ。 だから、ただ今はひたすら、言葉を吐き出してみようと思う。奇麗な表現なんていらない。自分が書きたいと思ったことを素直に、文にしてみよう。

/0718(バッテリーを読み終わって)



「マキちゃん」
そう呼ばれることに対して、本当のところもうそれほど腹を立ててはいなかった。
むしろ、他の呼ばれ方のほうが背筋がぞくっとする。名前で呼ばれることのほうが苦手だし。
「何か用?」
頬杖をついて見上げると、思っていたよりも晃は大きくてびっくりした。そうか、こいつのほうが僕よりも身長が高いんだ。いつも縮こまるようにして肩を丸めているから、意識したことがなかった。なんだかおかしくて、くすっと笑うと、晃が首をかしげた。
「お前さ、そのほうがいいよ」
「え?」
「ちゃんと立ってたほうが、でかく見える」
僕が言うと、今度は晃が笑みをこぼした。
「何言うとんのマキちゃん。俺、身長高いほうやって、知らんだん?」
「いや、そうじゃなくて、なんつーか……気持ちの問題だよ」
「気持ち?」
「うん。なんか、うまく言えないけど」
僕が口ごもると、晃はにこっと笑って話題を変えた。
「あのな、マキちゃん、この前のラジオのことやねんけど」
「え、俺、ムリだって」
がばっと起き上がって顔の前で手を振ると、晃はその手を強くつかんだ。
「そう言わんと、な? マキちゃんくらい声きれいな人、珍しいんやで?」
「それ、俺嬉しくない」
ふいっと顔をそむけた。手をつかんでいた力が弱まる。晃がため息をついた。
「晃、それ」
「は?」
「溜息つくと、幸せ逃げるぞ」
いつか晃に言われたことを、そっくりそのまま返してやった。冗談のつもりだったのに、なぜか晃は眼のふちに涙をためて、僕の前から無言で去って行った。

/0716




僕(槇)
晃(あきら)

「なあ、ラジオ、やらん?」
晃は興奮した様子で僕を見た。近い。今にも飛びついてきそうな晃の肩を掴んで、少し離した。
「なあ、マキちゃん、ラジオやらん?」
「マキちゃんて言うなって言ってるだろ」
「なあ、マキちゃん」
「だから」
「マキちゃん、声きれいやし」
「晃おまえな、人の話を」
「マキちゃん、しゃべんのおもろいし」
おもろいのは、お前だろ。晃にも分かるように溜息をついた。
「あ、あかんマキちゃん。溜息ついたら、幸せ逃げるで」
そう言って晃は僕の手をつかむと、自分の掌と僕の手のひらをくっつけた。大きい口を横いっぱい広げて、にかっと笑う。
「な、こうしたら幸せな」
「あほ、しわ合わせだろ」
「マキちゃん、そういうとこおもろい言うねんで」
どこにでもありそうな会話を、晃は面白いと言う。そうとう、つまらない人生を歩んできたんだな。でも、そんな風には見えないほど、晃は穏やかでにこやかで明るい。僕は自分の冷たさを感じて、二回目のため息をついた。
「あかんて、マキちゃん」
「いいって。大丈夫だって」
「ほんま? なんかおれ、いらんこと言いすぎたんちゃう?」
「それはいつものことだろ」
「え、そうなん? かんにんな、悪気はあらへんで」
晃はえへへと頭をかいた。それがもうすぐ十六になる男のする仕草かよ。妙に似合うけど。
「分かってるよ」
僕は素気なく言いながら、三回目のため息をついた。

/0624(僕がいまいち固定できない感じ)



 ちりっと胸の奥で、何かが焼けるような音がした。小さくてしっかりした火が、僕の胸の中にある。やりたい。僕の本音はそう言っている。けれど、僕はなかなかその気持ちを伝えられずにいた。
「顔色、悪いで?」
晃(あきら)が僕の顔を覗き込んだ。驚いて、数歩後ずさる。頭を振った。

/0610(よくわからん)



反抗心は一種の芸術なのかもしれない。巧たちの反抗心に、私は、憧れかもしくはそれに近いものを感じた。とくに、海音寺のチームに対する強い思いから来る学校への反抗ほど、純粋で真っ直ぐな反抗はないだろうと思った。ああまた、自分を顧みて嫌になる。反抗心だけ大きく、けれどその反抗には何の意味もない。海音寺のように何かのための反抗でない限り、それはただの我が儘で、頭の悪いお子様の行為だ。意味のある反抗をしようと思う。

横手との練習試合で脆く崩れ去るかと思われた姫さん、よく頑張ったというよりは、本当にこいつは強かだと、痛感させられた。今後どうなるか楽しみ。

青波は本当に可愛い。方言を使っているところとか、兄とはまた違う強かさを持ち合わせているところなど。相手の気持ちを敏感に感じ取れるのは、ある種の才能だと思う。正直、羨ましい。見習わなければ……と思う。
無邪気で、聞き分けのいいだけではない、ちゃんと自我をもった、それでも純粋で真っ直ぐな彼の今後も楽しみ。

/0610(メモってことで)



あさのあつこ先生のバッテリーには、心を抉られる。
人間は強い人間に惹かれてしまう性質があるが、まさしくその状態だ。
たくみは強かで、綺麗で、どうしようもなく惹かれてしまう。同時に、こいつに会わなければ、とも思ってしまった。
何故か? それは自分の弱さを見つめるのと同じことだからだ。私は、弱い。
巧の持つ自信や、それに対応する能力、そういうもの全部を含めて私は巧には敵わない。それは当たり前だ。
巧になりたいとはこれっぽっちも考えないが、強さを見るたびに泣きたくなる。
どうして私は、と自問する。答えは出ないし、余計に自分の弱さを身に沁みるだけだ。

/0610(眠いので終わり)



僕らは囚われた仔羊
真っ赤な花束を
夢を駆ける足
見つからない奇跡
夢の跡は無法地帯
明日と明後日のあいだ
君と謡う、
目覚めたばかりの今日に

/0609